サムライと西部劇
前回、逢坂剛『果てしなき追跡』を紹介した。
そこから、「サムライ」と「西部劇」の組み合わせについて、つらつら考えてみた。
三題噺じゃないが、『果てしなき追跡』の「サムライ」「西部劇」「記憶喪失」から連想したもの。
それは、マンガ『荒野の少年イサム』だ。
少年ガンマンのイサムが、さまざまな苦難を乗り越え、成長していく物語である。
原作・山川惣治、作画・川崎のぼる、『週刊少年ジャンプ』(集英社)に1971年から74年まで連載。
テレビアニメも制作、1973年4月から74年3月まで全52話がフジテレビ系で放送された。
物語は維新直後、渡勝之進というサムライが、勉学のためアメリカへ渡ったことに始まる。
志半ばで所持金が尽きてしまった勝之進は、金鉱で働こうとシエラ・ネヴァダへ。
そこで、ネイティブアメリカンのサクラと出会い結婚、一子イサムを授かる。
しかし、採集した砂金を携えてサンフランシスコへ向かう旅の途中、サクラを病で亡くすことに。
さらに、事故によってイサムとはぐれ、自身は記憶喪失となってしまった。
7年後、ようやく記憶を回復し、我が子を探す旅に出て西部をさすらう。
一方、イサムは、砂金採りの男たちが住むロッテン・キャンプに辿り着いた。
武骨な男たちの愛情を受けて、乳飲み子から少年へと育っていく。
ところが7年ほど経った時、無法者ウインゲート一家に連れ去られてしまう。
雑用係として酷使されながら、射撃や乗馬を厳しく叩き込まれ、3年後には一人前のガンマンに成長。
やがて悪事の手伝いを強要されるが、無法者の生き方にはどうしてもなじめない。
ウインゲートを仇と狙う黒人ガンマン、ビッグ・ストーンとも不思議な縁に結ばれつつ、イサムの苦闘が続く。
新選組とは特に関わりのない物語だが、サムライ勝之進の士魂と、それを受け継ぐ「太陽の子(サン・ボーイ)」イサムのまっすぐな正義感が光る感動作。絵もストーリーも素晴らしいと思う。
覆刻版コミックス(全5巻)や電子書籍で読めるので、機会があれば一読をオススメする。

新選組隊士たちがアメリカ西部へ渡る、という小説もある。
それが、菊地秀行『ウエスタン武芸帳』シリーズ。朝日ソノラマ文庫から全3巻が刊行。
この『ウエスタン武芸帳』シリーズは、SF伝奇アクション。
作中では、幕府が圧倒的に優勢であり、鳥羽伏見戦争に倒幕勢力が次々と降伏する。
しかし、倒幕方に頼みの綱とされる坂本龍馬が、ある目的を帯びてアメリカへ脱出。
捕縛を命じられた沖田総司が、山南敬助、永倉新八、斎藤一、原田左之助を率い後を追う、というストーリー。
ロボットや潜水艦、恐竜や大サソリや吸血鬼が出てきたり、魔術が使われたりと、かなり荒唐無稽。
沖田が冷酷でサディスティックな性格に描かれるのも含め、いかにも菊地秀行らしい娯楽作品。
なおかつ、絶対的リーダー沖田に他4名が従う人間関係の描写も、異色と言えよう。
紙の書籍は版元品切れとなっているようだが、電子書籍が出ている。
また、小説を原作とするコミカライズ作品(JET、朝日ソノラマ、1992/1994)も刊行された。



余談ながら、「サムライ西部劇」の映画もあった。
「レッド・サン」
「EAST MEETS WEST」
双方とも、万延元年の遣米使節団にまつわる話。
使節団が襲撃されて貴重品を強奪され、それを取り戻そうとする者たちの闘いを描く。
ちなみに、この遣米使節団については、『果てしなき追跡』の中でも何回か言及されている。
日本人にとっての幕末維新ものは、アメリカ人にとっての西部劇と似ているのかも、と思った。
そこから、「サムライ」と「西部劇」の組み合わせについて、つらつら考えてみた。
三題噺じゃないが、『果てしなき追跡』の「サムライ」「西部劇」「記憶喪失」から連想したもの。
それは、マンガ『荒野の少年イサム』だ。
少年ガンマンのイサムが、さまざまな苦難を乗り越え、成長していく物語である。
原作・山川惣治、作画・川崎のぼる、『週刊少年ジャンプ』(集英社)に1971年から74年まで連載。
テレビアニメも制作、1973年4月から74年3月まで全52話がフジテレビ系で放送された。
物語は維新直後、渡勝之進というサムライが、勉学のためアメリカへ渡ったことに始まる。
志半ばで所持金が尽きてしまった勝之進は、金鉱で働こうとシエラ・ネヴァダへ。
そこで、ネイティブアメリカンのサクラと出会い結婚、一子イサムを授かる。
しかし、採集した砂金を携えてサンフランシスコへ向かう旅の途中、サクラを病で亡くすことに。
さらに、事故によってイサムとはぐれ、自身は記憶喪失となってしまった。
7年後、ようやく記憶を回復し、我が子を探す旅に出て西部をさすらう。
一方、イサムは、砂金採りの男たちが住むロッテン・キャンプに辿り着いた。
武骨な男たちの愛情を受けて、乳飲み子から少年へと育っていく。
ところが7年ほど経った時、無法者ウインゲート一家に連れ去られてしまう。
雑用係として酷使されながら、射撃や乗馬を厳しく叩き込まれ、3年後には一人前のガンマンに成長。
やがて悪事の手伝いを強要されるが、無法者の生き方にはどうしてもなじめない。
ウインゲートを仇と狙う黒人ガンマン、ビッグ・ストーンとも不思議な縁に結ばれつつ、イサムの苦闘が続く。
新選組とは特に関わりのない物語だが、サムライ勝之進の士魂と、それを受け継ぐ「太陽の子(サン・ボーイ)」イサムのまっすぐな正義感が光る感動作。絵もストーリーも素晴らしいと思う。
覆刻版コミックス(全5巻)や電子書籍で読めるので、機会があれば一読をオススメする。
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新選組隊士たちがアメリカ西部へ渡る、という小説もある。
それが、菊地秀行『ウエスタン武芸帳』シリーズ。朝日ソノラマ文庫から全3巻が刊行。
- 『異西部の剣士』…… 1986
- 『アリゾナ剣銃風』… 1987
- 『無法街決闘伝』…… 1988
この『ウエスタン武芸帳』シリーズは、SF伝奇アクション。
作中では、幕府が圧倒的に優勢であり、鳥羽伏見戦争に倒幕勢力が次々と降伏する。
しかし、倒幕方に頼みの綱とされる坂本龍馬が、ある目的を帯びてアメリカへ脱出。
捕縛を命じられた沖田総司が、山南敬助、永倉新八、斎藤一、原田左之助を率い後を追う、というストーリー。
ロボットや潜水艦、恐竜や大サソリや吸血鬼が出てきたり、魔術が使われたりと、かなり荒唐無稽。
沖田が冷酷でサディスティックな性格に描かれるのも含め、いかにも菊地秀行らしい娯楽作品。
なおかつ、絶対的リーダー沖田に他4名が従う人間関係の描写も、異色と言えよう。
紙の書籍は版元品切れとなっているようだが、電子書籍が出ている。
また、小説を原作とするコミカライズ作品(JET、朝日ソノラマ、1992/1994)も刊行された。
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余談ながら、「サムライ西部劇」の映画もあった。
「レッド・サン」
1971年公開 フランス・イタリア・スペイン共作
監督… テレンス・ヤング
主演… チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロン、三船敏郎
監督… テレンス・ヤング
主演… チャールズ・ブロンソン、アラン・ドロン、三船敏郎
「EAST MEETS WEST」
1995年公開 日本(松竹)
監督… 岡本喜八
主演… 真田広之、竹中直人
監督… 岡本喜八
主演… 真田広之、竹中直人
双方とも、万延元年の遣米使節団にまつわる話。
使節団が襲撃されて貴重品を強奪され、それを取り戻そうとする者たちの闘いを描く。
ちなみに、この遣米使節団については、『果てしなき追跡』の中でも何回か言及されている。
日本人にとっての幕末維新ものは、アメリカ人にとっての西部劇と似ているのかも、と思った。
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