新選組の本を読む ~誠の栞~

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 池波正太郎「ごろんぼ佐之助」 

短編小説。自尊心が強く一本気な美丈夫、原田佐之助の痛快一代記。

「ごろんぼ」とは、伊予松山あたりの言葉で、ごろつきならず者悪漢を意味する。
松山藩の足軽の家に生まれた佐之助は、両親に似ない子であった。
実の父親は藩主の側近であると思い込んで気位を高くし、喧嘩を繰り返す。
長じても、足軽奉公もままならない。
ついには、些細な口論から切腹未遂事件を起こし脱藩。
かつて在勤した江戸へ出て、試衛館に住みつくようになった。
その武芸の腕は、近藤勇にも高く評価される。

浪士組加盟、新選組結成、京都での闘いの日々が続く中で、妻を娶り子供をもうけた。
しかし、戊辰の戦乱によって妻子と生き別れになり、新選組をも離れることに。
上野の彰義隊戦争に参戦して、佐之助は死んだ。誰もがそのように信じて疑わなかった。

ところが明治39年、愛媛県松山市に住む佐之助の実弟を、ひとりの老人が訪ねてくる…

新選組の副長助勤、十番組長として知られる原田佐之助(左之助)の波瀾万丈の生涯を、壮快に描いている。
(名前の表記は、現在「左之助」が主流だが、古い史料文献では「佐之助」も多く見かける。)
独自の設定や展開として、以下の点が印象に残った。
  • 佐之助が、自身の出生にずっと疑念を抱き続ける(終盤で真相が明かされる)。
  • 松山にいた頃、長沼正子という女性に迫って、ふられた。
  • 芹沢派粛清の時、土方歳三永倉新八をも粛清の対象にしようとしたが、佐之助が庇った。
  • 妻まさと知りあったのは、東洞院五条上ルの古着屋・山崎屋で負傷の手当てをした時。

永倉新八との友情は、永倉を主人公とする池波の長編小説『幕末新選組』とも共通するモチーフである。

作者は本作執筆にあたり、『史談会速記録』の内藤素行の談話や、永倉新八『新撰組顛末記』、子母澤寛『新選組遺聞』『新選組物語』などを参考にした模様。

内藤素行の談話は、『新選組証言録』でも読める。原田佐之助生存説は、この談話が根拠。
事実かどうか傍証は得られていないが、彼らしい勇壮なロマンを感じさせる説ではある。

初出誌は、講談社『日本』1963年8月号。
本作を収録している書籍(の一部)を、下記に挙げる。

『炎の武士』 角川文庫 初版1979/改版2007 ※「色」収録
『剣客群像』 文春文庫 初版1979/改版2009
『秘伝 剣客小説集 池波正太郎短篇コレクション』 立風書房 1992
『完本池波正太郎大成 第25巻(時代小説 短編 二)』 講談社 2000
『誠の旗がゆく』 細谷正充編 集英社文庫 2003
『ごろんぼ佐之助 池波正太郎短篇ベストコレクション』 リブリオ出版 2008

炎の武士
(角川文庫)
>>詳細を見る




ちなみに、原田佐之助(左之助)に関する種々の本については、別項にまとめている。
ご興味があれば併せてご覧のほどを → >>原田左之助の本

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