新選組の本を読む ~誠の栞~

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 滝口康彦「青い落日――沖田総司」 

短編小説。病に伏せる沖田総司と、看護にあたる女おせいとの、短い交流を描く。

半年前に夫を労咳で亡くしたおせい。
伯父の植木屋平五郎に依頼されて、千駄ヶ谷の離れで療養中の総司を世話することになった。
彼女は年下の総司を弟のように好もしく感じ、総司も彼女を姉のように慕う。
やがて、互いの思いは恋に変わっていく。

おせいの一人称による回顧談として展開する。
過去の様々な出来事を振り返って苦悩する、病床の総司の姿が切ない。

おせいが、総司を偲びつつ、彼女自身は知り得るはずのない京都での出来事を詳しく語っている。
後で聞いた噂話をもとに推測したと理由付けされてはいるが、彼女の心情というよりは作者の総司に対する思い入れの気配が濃く、なんとなく微笑ましくも感じられた。
実際の沖田総司は、このように親身な看護人を得られたのだろうか、ふと考えた。

近頃評判の映画「一命」は滝口康彦の「異聞浪人記」が原作と聞いて、そういえば新選組ものも書いていたはずと調べているうちに本作を思い出した。
発表の順序としては、本作「青い落日」よりも「異聞浪人記」のほうが先だったようだ。

本作は、『沖田総司 剣と愛と死』 (新人物往来社/1975)に収録された。
同書には他に、石沢栄太郎「沖田総司を研究する女」、古川薫「池田屋事件の二人」が掲載されている。

その後、滝口康彦の幕末小説集『遺恨の譜』 (講談社文庫/1987)に収録。
同書には他に、「遺恨の譜」「古心寺の石」「酔小楠」が載っている。

ちなみに、おりじん書房『遺恨の譜』(1975)と新潮文庫『遺恨の譜』(1996)は、本作を収録していないので要注意。

遺恨の譜
(講談社文庫)
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