新選組の本を読む ~誠の栞~

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 藤堂平助の本 

昨今、「藤堂平助」についてお調べと思われるアクセスが多い。
そこで、「藤堂平助」を主題とする関連書や作品等を、以下にまとめておく。

【ノンフィクション】

市居浩一 『高台寺党の人びと』所収「藤堂平助」 人びと文庫/1977
伊東甲子太郎ら御陵衛士を主題とする研究書。平助については、壬生・南部家の伝承が特に興味深い。
体裁は、文庫本ではなく、四六判ハードカバーの単行本。
詳細は『高台寺党の人びと』を参照のこと。

市居浩一 『新選組・高台寺党』所収「藤堂平助」 新人物往来社/2004
『高台寺党の人びと』の加筆・修正版。前書の南部家伝承は、残念ながら削除されている。
詳細は『高台寺党の人びと』に併記している。

山村竜也 『新選組剣客伝』所収「先駆の剣 藤堂平助」 PHP研究所/1998 PHP文庫/2002
試衛館派8人の評伝集。文庫版は単行本の加筆・修正版。詳細ながら、わかりやすくまとまっている。

新人物往来社編 『新選組銘々伝』第1巻所収「藤堂平助」 新人物往来社/2003
複数の執筆者による新選組隊士の評伝集、全4巻。第1巻は16人の隊士を取り上げる。
「藤堂平助」は菊地明が担当。やはり、詳細ながらもよくまとまっている。

菊地明・伊東成郎・結喜しはや 『土方歳三と新選組10人の組長』所収「八番組長 藤堂平助」
 新人物文庫/2012
幹部隊士たちの伝記と10大事件史。書名からはわかりにくいが、局長・総長・参謀も網羅されている。
「八番組長 藤堂平助」は結喜しはやが担当。コンパクトにまとまっている。

緋鳳 『藤堂平助とは何者か 落胤と呼ばれた男』 中央公論事業出版(制作・発売)/2014
藤堂平助生存説など異説を採り入れつつ、御落胤説や剣流剣歴について検証する論考。
2010年に『新選組八番組長藤堂平助とは何者か?』という書名で私家版(?)が出版されていた模様。
他の隊士と込みでなく、平助ひとりをメインにした珍しい研究書。

ちなみに、藤堂平助生存説は、研究家・谷春雄が「油小路の藤堂平助」と題し、『歴史と旅』1980年11月号(秋田書店刊)に発表した。
曰く、平助は油小路の包囲網を脱出し、名前を変え、明治期には横浜方面に住んでいた。肩から背中にかけて、長い刀傷が残っていた。川村三郎(=元新選組隊士・近藤芳助)と協力し、水道工事に絡む利権で大儲けした。大正11~12年頃に死没。息子がいたものの、遺産を道楽で使い果たし音信不通になった、とか。
ただし、関係者子孫の談話のみで、史料の裏付けが得られず、執筆者自身もこの説には懐疑的であった。

【小説】

南原幹雄 『新選組情婦伝』所収「血染め友禅 藤堂平助の女」
 立風書房/1977 角川文庫/1989 徳間文庫/1996 学研M文庫/2003 祥伝社文庫『江戸おんな八景』/2011
短編小説。友禅職人おあいが、幼馴染みで恋人だった平助と再会するものの、残酷な運命に引き裂かれる。
詳しくは『新選組情婦伝』を参照。

早乙女貢『新選組銘々伝』所収「御落胤罷り通る」
 徳間書店/1985 徳間文庫/1987 増補版『新選組列伝』新人物往来社刊/2003
短編小説。幼少期の平助は座頭の夫婦に育てられたという、オリジナル設定がユニーク。
詳細は『新選組銘々伝』を参照。

風巻絃一 『ぐでん流剣士 新選組藤堂平助』 春陽文庫/1990
長編小説。平助が、近藤や土方を見限って御陵衛士に加盟したのは至極当然、というストーリー。
異母兄弟の藤堂数馬、医師の娘・寿美枝、くノ一・夏といったオリジナルキャラとの関係は興味深い。
詳細は『ぐでん流剣士』を参照。

火坂雅志 『新選組魔道剣』所収「祇園の女」
 光文社/1996 光文社文庫/1999 文春文庫/2009 集英社文庫『誠の旗がゆく』/2003
短編小説。芸妓・君香との出会いが平助の運命を大きく変える、オカルティックなストーリー。
詳しくは『新選組魔道剣』を参照。

秋山香乃 『新選組藤堂平助』 文芸社/2003 文春文庫/2007
長編小説。平助の生涯を、土方歳三との関係に重きを置いて描き出す。
文芸社より2000年、「藤原青武」名義で出版された『SAMURAI 裏切者』の改訂版。
詳しくは『新選組藤堂平助』を参照。

秋山香乃 『新選組出陣』収録「誠の旗の下で ―― 藤堂平助」 廣済堂出版/2014 徳間文庫/2015
短編小説。伊東派の分離脱退に加わる平助と、新選組に残る永倉新八とが交わした、哀しき誓い。
詳しくは歴史時代作家クラブ編『新選組出陣』を参照。

【マンガ】

藤堂平助が主人公のマンガ作品(商業出版物)というものを、寡聞にして知らない。
メインキャラクターのひとりとして比較的重要な扱いをされている作品は、こんなところだろうか。

『薄桜鬼 ~新選組奇譚~』 2008-
元はアイディアファクトリー(オトメイト)発売の、女子向け恋愛アドベンチャーゲーム。
アニメ(テレビ・OVA・劇場版)、書籍、CD、演劇、ミュージカル作品などが展開している。
書籍は、原画イラスト集・小説・コミックと、これまた多彩。平助をフィーチャーしたものもある。
この作品の平助は、小柄なので、美青年というより美少年という印象。
直情径行な性格で、よく年上の仲間にからかわれたりしている。
ヒロイン千鶴に対して優しい気遣いを見せるあたり、ポイントが高い。

『新選組刃義抄 アサギ』 原作:山村竜也 作画:蜷川ヤエコ 構成協力:町田一八 
 スクウェア・エニックス ヤングガンガンコミック全8巻/2009-2012
沖田総司・藤堂平助・斎藤一の同世代トリオが主人公。
作中の平助は、剣士として沖田に及ばない己に焦りを感じ、それが実戦にも出てしまう危うさがある。

以前のまとめ記事、永倉新八の本斎藤一の本はそこそこ重宝していただいている様子。
しばらくまとめを上げていなかったので、久々に書いてみた。
ここに挙げたもの以外にお気づきの書籍・作品があれば、コメント欄へなりとお知らせいただければ幸い。

土方歳三と
新選組10人の組長
(新人物往来社文庫)
>>詳細を見る



藤堂平助とは何者か
落胤と呼ばれた男
>>詳細を見る



薄桜鬼 Vol.4 
藤堂平助 篇
>>詳細を見る


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こういう括りで本を紹介されるのも、いいですね。

平助は「魁先生」の代名詞があるように、ワタクシのイメージでは野球の一番打者
という感じでしょうか。少々ケンカっ早くて気が強い、打てば一発長打もある・・・
かつて巨人に在籍していた仁志選手みたいなイメージ。ワタクシが描くときはそんな
姿を思い描いています。
しかし、試衛館に出入りするようになった経緯や、その試衛館メンバーの中から
唯一(スパイ斎藤は除いて)高台寺党へ参加した心境など、かなりわからない
部分がありますね。
小説などで平助を扱うときは、そんなところが作家の創作意欲を沸き立たせるので
しょうね。

平助生存説は一瞬「オオッ」と興味をそそられますが、左之助馬賊説よりも信憑性
は低いでしょうねぇ。左之助馬賊も眉ツバっていや眉ツバですが、なんか夢があって
好きな話です。
平助は水道の利権で儲けるよりも、同じ伝説なら藤堂公の御落胤の方が夢があります。
御落胤じゃなくても「関係者くらいの間柄」でも、いいです。

薄桜鬼ってワタクシ、全く存じ上げなくて。
なんか今、新選組ファン(特に女子)の基本ラインのようですね。
元々ゲームなのですか・・・しかしそのジャンルが歴史シュミレーションなどでは
なく、「恋愛アドベンチャー」ってのがスゴイですね。

2014/07/26(Sat) |URL|イッセー [edit]

イッセーさんへ

ご感想ありがとうございます。

まさにおっしゃるようなイメージが、平助にはありますね。
それに加えて、女性関係のことで近藤勇に叱られたという逸話からは、ちょっと不良っぽい江戸っ子(軟派なシティボーイ)の側面もありそうに感じます。

生存説は、谷先生も仰せのとおり、疑問点が多いです。
たとえ試衛館派の面々が平助を逃がそうとしても、顔を知っている隊士は大勢いるわけで、死体をすり替えたりなど困難でしょう。それに、川村三郎も、史談会で証言した元御陵衛士の仲間も、平助の生存について一言も触れていません。

ただ、平助の母親は多摩に縁があったらしい、という話は気になります。
御落胤説も、所持刀や諱における関連の可能性が、興味深く思えます。

乙女ゲームの素材として、新選組は最適でしょう。
個性的なイケメンが大勢登場するし(イケメン説のない人物でもキャラデザは自由だし)、スリル満点のイベントを発生させやすいし、オリジナル設定も盛りやすいし。
新選組ファンにハマったきっかけを問うと、かつては『燃えよ剣』『新選組血風録』がダントツでしたが、今日日は『薄桜鬼』が多そうですね。

2014/07/27(Sun) |URL|東屋梢風 [edit]

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