新選組の本を読む ~誠の栞~

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 手塚治虫「新選組」 

長編マンガ。熱血少年・深草丘十郎(ふかくさきゅうじゅうろう)が、新選組に入隊し、様々の試練を経た後に旅立っていく物語。

父親を不逞浪士によって殺害された丘十郎は、仇を討つため新選組に入隊した。
同期の鎌切大作とは気があい、親友になる。
日々の稽古は過酷で、芹沢鴨から何かと辛くあたられる。
一方、大作の友情と、近藤勇や沖田総司の厳しくも温かい指導に助けられる。

ある日、隊内に潜む間者の掃討を手伝わされた丘十郎は、やむなく松永主計を斬る。
そのため、松永の娘・八重の恨みを買い、皮肉にも自分が仇として狙われる立場になってしまった。
八重の気持ちは痛いほどわかるものの、父の仇を討つまで討たれるわけにいかない。

たまたま知りあった坂本龍馬も、沖田や大作も、丘十郎の心中を知って仇討ちをやめるよう忠告した。
それでも丘十郎は聞き入れず、ひたすら稽古に打ち込み、ついに目指す仇を斃す。
しかし、後には大きな虚無感が残った。

そんな時、大作が長州の間者と判明する。
土方歳三から「斬れ」と命令され、丘十郎は大作を逃がそうとするが…


本作の初出は、昭和38年の雑誌連載。
時期的には、司馬遼太郎が『新選組血風録』『燃えよ剣』の連載を始めた直後である。
ただ、本作の新選組像は、司馬以前の「鞍馬天狗」などに登場する敵役に近い。

大作の台詞に「今は勢いが良くても、いずれ幕府が滅びれば新選組も終わる」「近藤のようにただ強いだけの人間は、先が長くない」とある。
また、丘十郎も「今度帰ってくる時に新選組はまだあるだろうか」と自問しつつ旅立っていく。
本作における新選組は、狭い日本の中で日本人同士が争いあう愚かさの象徴であり、丘十郎が信じてきた古い価値観の象徴なのだろう。

余談ながら、マンガ家・萩尾望都は、高校生時代に本作を読んで大きな影響を受けたと語っている。
「マンガは子供の読み物」とされていた時代に、人間の心の葛藤をこれほど踏み込んで描いたマンガ作品は画期的だったようだ。

何度も出版されており、現在は集英社文庫『手塚治虫名作集(11) 新選組』(1995)、講談社『手塚治虫文庫全集BT27 新選組』(2009)が入手しやすいと思われる。
表題作は双方同じだが、その外の収録作品は異なる。
電子書籍も出ている。

手塚治虫名作集 (11)
(集英社文庫)
>>詳細を見る



新選組
(手塚治虫文庫全集)
>>詳細を見る



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