新選組の本を読む ~誠の栞~

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 原田左之助の本 

原田左之助をテーマとする本を、以下にまとめてみた。
論考や短編小説など、その出版物の一部分であっても、興味深いものは取り上げている。

【ノンフィクション】

『史談会速記録』
旧松山藩士で俳人の内藤素行(俳号は鳴雪)による、左之助関連の談話が収録されている。
◆第297輯(1918)…左之助が江戸藩邸で小使いをしていた頃と、国許で若党をしていた頃の逸話。
◆第340輯(1923)…松山に伝わる左之助生存説を、渡辺実という新聞記者が取材した経緯。
これらは、山村竜也『新選組証言録』(PHP新書/2004)にも掲載されている。

子母澤寛『新選組遺聞』(万里閣書房/1929 中公文庫版/初1977/改1997)
「原田左之助」の章に「原田左之助未亡人まさ女談(昭和4年1月18日)」「永倉新八翁遺談(明治45年中)」があり、左之助の私生活や戊辰戦争中の動向が語られている。
また、「壬生屋敷 八木為三郎老人壬生ばなし」にも、左之助の人柄に関する証言がある。
史実かどうか微妙だが、関係者の聞き書きをもとにしているので、ノンフィクションに分類しておく。
そのほか本書については『新選組遺聞』を参照。

子母澤寛『新選組物語』(鱒書房歴史新書/1955 中公文庫/初1977/改1997)
「死損ねの左之助」の章は、『新選組遺聞』の記事に内藤素行の談話も加え、小説ふうに脚色してある。
やはり聞き書きがあり、根拠のない創作とは言い切れないので、ノンフィクションとした。
そのほか本書については『新選組物語』を参照。

万代修『新選組裏話』(新人物往来社/1999)
「原田左之助余話」と題して、壬生・南部家の通夜(文久3年12月)に左之助が参列したことを示す史料が紹介されている。

山村竜也『新選組剣客伝』(PHP研究所/1998 PHP文庫/2002)
「勇飛の剣 原田左之助」を含む、試衛館派の8人を取り上げた評伝集。
文庫版は、単行本に加筆・修正した内容。わかりやすくまとまっている。

新人物往来社編『別冊歴史読本(18) 新選組組長列伝』(2002)
ムック。清水隆「原田左之助夫人の生涯」は、妻まさの生涯を維新後にも焦点を当てて詳述。
同じく筆者の評伝「原田左之助」は、本文も興味深い上、妻まさ、長男茂の肖像写真など貴重な画像が載っている。

新人物往来社編『新選組銘々伝』第4巻(新人物往来社/2003)
清水隆「原田左之助」を収録。多数の史資料を駆使し、丹念に考証している。

菊地明『新選組十番組長 原田左之助』(新人物往来社/2009)
左之助だけを主題とする研究書では「唯一」というべき1冊。
月刊『歴史読本』2007年1月号から2008年12月号にわたり「原田左之助伝私記」のタイトルで連載された記事を加筆・訂正した内容。モノクロながら写真や図版も交え、詳述されている。

菊地明・伊東成郎・結喜しはや『土方歳三と新選組10人の組長』(新人物文庫/2012)
幹部隊士たちの評伝と、新選組の10大事件史をまとめた本。
伊東成郎「原田左之助」を収録し、生涯のほか、三条制札事件、坂本龍馬暗殺事件との関わり、妻まさとの関係をクローズアップ。短いながらもわかりやすくまとまっている。

【小説・エッセイ】

池波正太郎「ごろんぼ佐之助」
短編小説。初出は講談社『日本』1963年8月号。
快男児・原田左之助の痛快一代記。多くの短編集やアンソロジーに収録されている。
詳しくは「ごろんぼ佐之助」を参照。

福田定良『新選組の哲学』(新人物往来社/1974 中公文庫/初1986/改2006)
短編小説ふうのエッセイ集。「原田左之助のエロ話」を収録。
詳しくは『新選組の哲学』を参照。

南原幹雄『新選組情婦伝』
 (立風書房/1977 角川文庫/1989 徳間文庫/1996 学研M文庫/2003)
短編小説集。「おいてけぼり、お京 原田左之助の女」を収録。
松山藩江戸藩邸に奉公する女お京との出会いと別れを描く。
詳細は『新選組情婦伝』を参照。

童門冬二『新撰組の女たち』(朝日新聞社/1982 旺文社文庫/1985)
形式的には長編小説だが、実質的には短編連作集といってよい作品。
何組かのカップルを描いており、左之助と妻まさを描いたパートがある。
詳細は『新撰組の女たち』を参照。

早乙女貢『新選組銘々伝』
 (徳間書店/1985 徳間文庫/1987 改題『新選組列伝』新人物往来社/2003)
短編小説集。「死に損ないの左之助」を収録。
気位が高く、女性にもてるがゆえに故郷を出奔するはめになった左之助の活躍。
詳細は『新選組銘々伝』を参照。

藤本義一『壬生の女たち』(徳間文庫/1985)
短編小説集。「吹く風の中に生きた」を収録。
商家の箱入り娘まさが、左之助と所帯を持ち、男の生き方と女の生き方について考える。
詳細は『壬生の女たち』を参照。

早乙女貢『残映』
 (読売新聞社/1976 徳間文庫/1985 改題『新選組原田左之助 残映』学陽書房人物文庫/2001)
長編小説。左之助の縦横無尽の活躍を描く。維新後も生き残り、不穏な事件に関与している。
詳細は『残影』を参照。

新宮正春『死に損ね左之助』(新人物往来社/2000)
短編小説集。表題作「死に損ね左之助」は評伝ふうの短編小説。
このほか「高台寺の間者」「大久保大和の首」「祐天斬り」「清河八郎謀殺」「上野寛永寺の錦旗」「慶喜要撃」を加えた全7編を収録する。

中村彰彦『新選組秘帖』(新人物往来社/2002 文春文庫/2005)
短編小説集。「明治四年黒谷の私闘」を収録。
主人公は水野八郎(橋本皆助)だが、出世のために原田左之助を捜し出し、討ち取ろうと企てる。両者の対決が息詰まる迫力。
詳しくは『新選組秘帖』を参照。

松本攸吾『原田左之助 新選組の快男児』(文芸社/2004)
長編小説。史実を活かしつつストーリー構築された作品。

【マンガ】

原田左之助を重要なレギュラーキャラとするマンガ作品は、数多くある。
ただし、単独で主人公とした作品には、今までお目にかかったことがない。
調べてみたが、生憎とそれらしい情報を見出せなかった。

左之助がマンガの人気者となったきっかけは、やはり『るろうに剣心』ではなかろうか。
彼をモデルとした相楽左之助は、剣心の頼もしい相棒としてシリーズ全編にわたり活躍する。

昨今は、乙女ゲーム発のメディアミックス作品『薄桜鬼』の左之助が圧倒的に人気の様子。
例えば「原田左之助 マンガ」で画像検索すると、結果は『薄桜鬼』が席巻。
その中に『るろ剣』『ちるらん』『アサギロ』『PEACE MAKER』『銀魂』『一の食卓』『風光る』『勿忘草』『とんがらし』などといった作品が散見される。

個人的には、『一の食卓』の原田左之助に期待したい。
維新後も生き残り、主人公の明や五郎(斎藤一)らのもとへ転がり込んできた。
せっかく加わった杉村義衛(永倉新八)が北海道へ帰ってしまったので、左之助は今後も五郎とともに活躍してもらいたい。
詳しくは『一の食卓』を参照。

---
同人誌など自費出版物まではカバーできず、商業出版物に限って紹介した。
また、商業出版物でも雑誌(ムックを除く定期刊行物)掲載の記事は割愛した。
よろしくご了承いただきたい。また、他にも注目すべきものがあれば、ご教示いただきたい。

新選組組長列伝
別冊歴史読本 (18)
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新選組十番組長
原田左之助
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原田左之助

漫画で原田左之助がクローズアップされた作品と言えば、
なんといっても『ワイルド7』で有名な望月三起也先生の『俺の新撰組』です。
是非とも加えていただきたいっ!

2016/12/03(Sat) |URL|甚左衛門 [edit]

甚左衛門さんへ

コメントありがとうございます。
言われてみれば『俺の新選組』の原田左之助は、主人公タイプの(代表作『ワイルド7』の飛葉に似た)男前で、土方歳三を差し置いて活躍の機会がだんだん増えていったんでしたっけ。
この作品が、マンガにおける「かっこいい左之助像」の源流かもしれませんね。

ただ、『俺の新選組』連載が1979~1980年、『るろ剣』連載開始が1994年で、14年もの開きがあります。その間、男前の左之助が活躍するマンガが他に出たか、思い当たりません。
『俺の新選組』もかなりの人気作だったでしょうに、かっこいい左之助像を広く流布・定着させるまでに至らなかったのだとすれば、何故か不思議に思えます。
望月三起也の個性が強いので、他のマンガ家はパクったと思われるのを怖れ手を出さなかったからでしょうか?
あるいは、作風がはっきり男子向きで、女子読者の支持をあまり得なかったせいでしょうか?

それはそれとして、望月三起也が闘病を発表したとき『俺の新選組』の続編を描きたいと言っており、土方歳三が蝦夷地で戦うストーリーを構想していたようですが、実現しないまま本年4月に亡くなったのは残念でした。

2016/12/03(Sat) |URL|東屋梢風 [edit]

祐天斬り

今になって「祐天斬り」のタイトルに気づきました。仙之助が主人公ですね。こいつは是非読まなけりゃいけません。

祐天は実際には「由天」という法名ですが、同時代の史料では既に「祐天」と書かれております。
ちなみに親父は由玄で、仙之助の倅が(祖父と同じ)由宣を名乗っています。
口承では甲府久保町の玄法院の世話で秩父口の逸見道場へ行き、甲源一刀流を学んだと聞きましたが、別に北辰一刀流を学んだとの話もあり、いずれにせよ彼について書かれた物には興味があります。ご紹介、大変ありがたいです。

2017/07/08(Sat) |URL|甚左衛門 [edit]

甚左衛門さんへ

再度のコメント、恐れ入ります。
新宮正春『死に損ね左之助』は、いずれ詳しく紹介したいと思いながらも保留となっておりました。
収録作は短編小説であり、史実に基づいているにしろフィクションと思われます。
何卒よろしくご了承ください。

2017/07/09(Sun) |URL|東屋梢風 [edit]

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