新選組の本を読む ~誠の栞~

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 中澤琴と新徴組 

2017年1月14日(土)、時代ドラマ「花嵐の剣士 ~幕末を生きた女剣士・中澤琴~」がNHK-BSプレミアムにて放送される(21:00~、90分枠)。
また、ドラマに先立って1月12日(木)「もう一つの新選組 ~“新徴組”と幕末の江戸~」という予習番組も放送される(21:00~、60分枠)。
中澤琴と新徴組がこのように大きく取り上げられることを、感慨深く思った。

ドラマの宣伝文句のとおり、中澤琴(なかざわこと)は実在の人物である。
出身は上野国利根郡穴原村。
父の中澤孫右衛門は、法心流という剣術の道場を開いていた。
その父に学び、やがて薙刀を執っては勝るとも劣らぬ腕前になった、という。

文久3年、兄の良之助(貞祇)が浪士組に応募して京へ上る時、琴も男装してついていった。
ただし、浪士組の名簿に彼女の名前はない。
女子が単身、男子集団に立ち交じり長旅をするのは無理なので、道中は別行動をとったのだろうか。

周知のとおり、浪士組は上京直後、一部の残留者(のち新選組を組織)を除いて江戸へ戻ることになった。
良之助は帰還組に属しており、琴もまた江戸へ戻った。
(※琴に「新選組の女隊士」という惹句が付される場合があるが、そういう事実はない。)
帰還者たちはその後、庄内藩預かりの「新徴組」として再出発する。

新徴組は、江戸の治安部隊として活動した。
慶応3年12月には、江戸擾乱の浪士一味が拠点とした薩摩藩屋敷を攻撃する。
翌年の戊辰戦争でも、庄内において新政府軍と戦う。

中澤良之助がその一員であったことは諸史料から確認されるものの、琴については詳細不明。
ただ、彼女も新徴組の活動に携わり、薩摩藩邸攻撃や戊辰戦争において果敢に戦った、という説がある。
いつごろか兄と郷里に戻り、昭和2年まで存命だったそうだから、地元に遺談や伝承が残ったのだろう。
今回のドラマは、そうして伝わった説に拠る企画のようだ。

ドラマ情報には原作の表示がなく、ストーリーのもとになった小説やマンガなどは存在しない模様。
それはそれとして、中澤琴について書かれた出版物がないかと探してみた。
見つかったのが、以下の2冊。

『新選組の舞台裏』 菊地明 新人物往来社 1998 四六判ハードカバー
タイトルのとおり、新選組に関する考証本。
全34章のうち「女剣士中沢琴のこと」と題する章がある。
4ページと手短ながら、『日本女性人名事典』『甲子雑録』『群馬国人記』等々史料文献も引いて、わかりやすくまとめられている。
(※本項も、主にこの章を参考として記述した。)

本書は20年近く前に出版され、現在では最新の研究と言えない部分も散見される。
しかし、参考として役立つところも多く、読んでみて損はないと思う。

『初夏の幻想』 石村澄江 上毛新聞社事業局出版部 2013 四六判ハードカバー
生憎と実物をまだ見ていないのだが、短編小説集であるらしい。
収録作12編の中に「利根法神流の麗華・中澤琴女」と題する1編がある。

なお、下記の本も挙げておきたい。
『新徴組』 佐藤賢一 新潮社 2010 (新潮文庫 2013)
沖田総司の義兄・沖田林太郎を主人公として、その奮闘を描く長編小説。
林太郎も浪士組に参加した後、新徴組へと転身した人物である。
この本は、いずれ当ブログで詳しく紹介したい。

ちなみに、沖田林太郎と長男・芳次郎について、江戸の新徴組屋敷にいたころの逸話が、子母澤寛『剣客物語』に収録されている。

新選組の舞台裏
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新徴組
(新潮文庫)
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