新選組の本を読む ~誠の栞~

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 広瀬仁紀『沖田総司恋唄』 

長編小説。新選組の最盛期から終焉を背景に、沖田総司の短い生涯と淡い恋を描く。

労咳に冒されながらも、周囲に心配かけまいと気遣う沖田総司。
死ぬ時は新選組の旗の下でと望みながら、自らの運命には一片の悲痛も抱かず、淡々と残された日々を生きる。
かかりつけの医家で知りあった童女おゆきに、兄のように慕われて、彼もまたおゆきを妹のように愛する。
しかし、おゆきは同じ病で先立ち、深い哀惜を味わう。
また、医家の娘おしのとは、互いに思慕を抱くようになるが、もとよりそれ以上を望む気はなく、実らぬままに別れを告げる。


本作の沖田総司は、いつも明るく素直にふるまう。
病の身を嘆いたり苦悩したりしないおかげで、読んでいても暗さは感じないが、切なさは却って深まる。

おゆき、おしのとの交流が、哀しくも美しい。
近藤勇、土方歳三、山崎烝、松本良順など、周囲の人々が総司に寄せる思いやりは、心温まる。

作者は、主に松本良順の著書に拠って、物語を構成、人物を造形したという。
その目のつけどころと、史料を膨らませた創造力とが、興味深く思えた。

新人物往来社の単行本(1977)、富士見時代小説文庫(1981)、小学館文庫(1999)が出版されている。

沖田総司恋唄
(小学館文庫)
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