新選組の本を読む ~誠の栞~

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 東京日日新聞社会部編『戊辰物語』 

史談集。幕末維新期から明治初期の世相を題材とした、同紙連載記事の集成。
「戊辰物語」「五十年前」「維新前後」の3編を収録している。

「戊辰物語」
昭和3年(1928)の正月前後に連載された読み物。上26回・下9回の合計35回。
ちょうど60年前=戊辰戦争当時の出来事や著名人について、古老の回顧談を元に書かれている。
新撰組に関しては、江戸引き上げや近藤勇・土方歳三の最期を記述。

「五十年前」
大正15年(1926)の連載。50年前=明治9年当時をふりかえる内容。全32回。
語り手は、政府の要人、駐日大使館の職員、旧幕府の役人、忍者の末裔、大寺院の僧侶、画家など芸術家、落語家など芸能人、貿易商……と男女取り混ぜ多岐にわたっている。

「維新前後」
昭和3年(1928)に上記2編をあわせ単行本として出版する際、新たに取材・執筆されたもの。
やはり複数の人物からの聞き書きを元にしており、「町奉行所の話」「新撰組」「彰義隊余聞」の全3章で構成されている。
新撰組に関しては、その発足から終焉までの出来事を記述。

以上3編とも、一般庶民の実感・体験がざっくばらんに語られた、時代の証言録である。
正統な研究史料というよりは気軽な読み物であるが、なかなか興味深い。

新撰組の関連記述は、永倉新八、近藤勇五郎(近藤勇の甥・跡取り)、秦泰親(篠原泰之進の子息)らに取材しており、語り口にリアリティを感じる。

「維新前夜」中の「新撰組」は、東京日日新聞社・社会部に当時在籍していた子母澤寛によって執筆された。
内容的にも、後の「新選組三部作」と共通点が多い。
ただ、完全に重複しているわけではなく、こちらにだけ書かれた事柄もあるので、併せて読んでも損はない。

昭和3年(1928)、萬里閣書房から単行本が出版された。
岩波文庫版(1983)も出ている。

戊辰物語
(岩波文庫)




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