新選組の本を読む ~誠の栞~

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 神坂次郎『幕末を駆ける』 

短編小説集。幕末動乱期を生きた、実在の人物を題材とする7編。評伝ふうでもある。
このうち、新選組に関わるのは、佐久間象山の子・恪二郎を主人公とする「影(シャドウ・ボーイ)男」

父の象山が暗殺され、途方にくれた佐久間恪二郎
本人の意思に反して仇を討つはめになり、新選組に客分として籍を置く。
しかし、父に溺愛されて育った世間知らずの彼は、何の力もないのに自尊心ばかりが強く、母からの仕送りで放蕩三昧を続ける。
あげく、隊内での立場は悪化、ついに脱走してしまう。

とんでもないお荷物を背負い込んで、近藤勇土方歳三がこぼす場面が笑える。
なお、本作によると、その後も恪二郎はあちこちに迷惑をかけまくり、それでも近藤・土方よりはやや長く、明治10年まで存命だったとか。
在隊中の恪二郎の行状については、子母澤寛『新選組遺聞』の「象山の倅」にも詳しく書かれており、併せて読むと面白い。

このほか6編のタイトルと主人公は、以下のとおり。それぞれユニークで興味深い。
「たった一人の攘夷党」 ロシア軍艦を砲撃した、泉州淡輪陣屋の代官・大月庄左衛門
「幕末赤軍派」 若き日に無謀な志士活動を行った、土佐の田中光顕
「西郷暗殺の密使」 西郷暗殺計画の主犯とされた中原尚雄
「暴れ道竜」 草莽軍隊を組織し騒乱を駆け巡った、紀州の怪僧・北畠道竜
「猛女記」 義理の息子を自ら武芸で鍛え上げた、紀州の女傑・長尾つる
「開化乗合馬車」 皇宮馬車掛の職を捨て、乗合馬車普及に努めた由良守応

中央公論社から単行本(1985)、文庫本(1989)が出版された。

なお、「影(シャドウ・ボーイ)男」は、神坂次郎の短編集『定本 おかしな侍たち』(徳間文庫)、アンソロジー『誠の旗がゆく』(集英社文庫)にも収録されている。

幕末を駆ける
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