新選組の本を読む ~誠の栞~

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 E.コラッシュ「箱館戦争生き残りの記」 

旧幕軍に加盟したフランス軍人ウジェーヌ・コラッシュの回想録。
帰国後、旅行専門誌に発表された談話と筆記を、日本語に訳している。

先に旧幕軍に投じたブリュネ大尉らに協力するため、コラッシュは同僚ニコールとともに箱館へ赴く。
宮古湾海戦の際、彼は高雄(第二回天、文中ではアシュヴェロット)に乗り組んだが、艦が座礁したためやむなく投降し、東京に護送された。
投獄され厳しい取り調べを受け、一時は死刑を覚悟したものの、本国へ強制送還されるのみですんだという。

本作には、箱館に至る途次の出来事、宮古湾海戦の進捗状況、高雄座礁から投降までの経緯、東京へ護送されるまでの道中、獄中生活と取り調べの様子などが、詳しく描写されている。
外国人ならではの、日本の習俗に対する好奇心も窺い知れる。原本からの挿絵も面白い。
最も興味深いのは、海戦に関する日本人側の記録にはない描写、もしくは日本人側の記録とは食い違う描写である。例えば――
  • 高雄が座礁した時、日本人乗組員70名は冷静さを失い混乱していたが、コラッシュが一同を落ち着かせ、適切な指示を与えて安全に避難させた。
  • 総員退避の際、先にボートで上陸したグループが、残った者を見捨てて逃げようとした。コラッシュは高雄から海に飛び込んで岸に泳ぎ着き、逃げようとする者達を脅して引き返させ、皆で残りの人数をボートに乗せ運んだ。
  • 高雄には、泥酔した1名が取り残された。また、避難の際コラッシュの指示に従わず別の逃げ道をとった2名が、新政府軍艦の砲撃により死亡した。
――など、少々手前味噌な感じの部分もある。
この回顧録がすべて事実とは限らず、記憶違いや意図的に事実を伏せた部分もあるかもしれない。
しかしそうだとしても、旧幕軍所属フランス人の認識の一端を知る上では大いに参考になろう。

新選組に関する記述はないものの、新選組も出撃した宮古湾海戦を知る上で、重要な一作と言える。

本作は、有隣新書『フランス人の幕末維新』(M.ド・モージュ他/市川慎一・榊原直文編訳/1996)に収録されている。
ほかに、ド・モージュ「日仏修好通商条約 全権団随行員の日本観」、アルフレッド・ウェット「明治七年の富士登山」も収録されており、それぞれに興味深い。

フランス人の幕末維新
(有隣新書)
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