新選組の本を読む ~誠の栞~

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 黒鉄ヒロシ『新選組』 

マンガ。短編45編(序含む)によって、新選組の発足から終焉までを描く。

いわゆる「黒鉄歴画」の第1作。
子母澤寛「新選組三部作」を基礎としているものの、ストーリーはあまり重要でない。
作者の自由なイメージによって、エピソードのエッセンスが象徴的に表現される、ユニークな作品である。
別の物になぞらえ比喩的に表現したり、フォルムやシルエットの似通った別の物に変容させたり、ダジャレ的な言葉遊びを用いたり、黒鉄流のシュールかつユーモラスな手法による展開が面白い。

線の多い精緻な絵柄、線を省略した単純な絵柄、役者絵のように様式化された絵柄と、多彩な描法が縦横無尽に入り交じり、互いに違和感なく画面を構成し、技術の高さを感じさせる。

作画の参考として、写真史料も用いている。
肖像写真の考察で、土方歳三(全身像)と荒井郁之助(旧幕脱走軍幹部の集合写真)の腰かけている椅子が酷似している、という指摘は鋭いと思った。

高知県出身の作者は子供時代、坂本龍馬を目撃したことがあるという曾祖母に、よく龍馬の話をせがんだ。幕末つながりで、いつしか新選組という集団にも関心を持ったという。
嫌いではないが好きすぎるわけでもない、適度に距離感のある愛着が作品から窺える。

余談だが、本作は2000年に映画化されている。
原作の絵を切り抜いて作った紙人形を人の手で操るという、生身の演技でもアニメでもない手法が、独特の雰囲気を醸し出していた。
監督・市川崑、製作・フジテレビ、協力・東宝映画ほか、配給・メディアボックス。
声の出演は、近藤勇・中村敦夫、土方歳三・中井貴一、沖田総司・原田龍二、山南敬助・うじきつよし、芹沢鴨・石倉三郎、清河八郎・石橋蓮司、伊東甲子太郎・石坂浩二、お孝・萬田久子、明里・清水美砂、駒野・岸田今日子、ナレーション・江守徹という豪華キャスト。
制作費もしくは制作時間の不足か、ストーリーが沖田総司の死で唐突に幕切れしたのは惜しかった。

PHPから、単行本(1996)と、加筆された文庫本(2000)が出版されている。

新選組
(PHP文庫)
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