新選組の本を読む ~誠の栞~

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 菊地明・伊東成郎・山村竜也編『新選組日誌』 

研究書。史料文献から出来事の記述を抜粋し、解説を加えた編年式の記録集成。
上・下2巻の構成。
上巻は天保5年の近藤勇誕生から慶応元年まで、下巻は慶応2年から明治2年の五稜郭開城までを収録している。

「日誌」といっても、新選組隊士の誰かが書いていた日記、というわけではない。
年表をとてつもなく詳しくしたようなもの、と言えばわかりやすいだろうか。
例えば、特定の事件や人物について知るなら、一般的な通史の本でだいたい間に合う。
しかし、「某月某日、新選組で何があったか知りたい!」と思った時は、本書が非常に役立つ。
その日付の条目を見れば、すぐにわかるのだから。

大きな事件だけでなく、井上源三郎が兄の松五郎に手紙を書き送った(慶応元年7月1日)とか、島田魁が脇差を注文した(慶応3年2月19日)とか、細かい出来事まで網羅されている。

各条目とも、根拠となる史料の引用が掲載され、詳しい解説も付されている。
おかげで、理解しやすく、自分なりに調査研究を進める手がかりにもなる。

出来事が時系列で並べてあることによって、一般的な通史ではわかりにくかった流れや関連性が見えてくるのも興味深い。
出版当時、画期的な研究書として注目された。小説家・浅田次郎も、新聞の書評欄で高く評価していた。

ひとつ残念なのは、重要な史料でも反映されていないものがあること。
例えば、平成9年(1997)に発見された永倉新八の手記「浪士文久報国記事」は、含まれない。
理由は至極当然ながら、本書の出版がそれより早い平成7年(1995)であったためだ。

さりながら、本書が今でもかなり有用であることは間違いない。
特に新選組に熱中している向きは、手にすれば最初から最後まで読みたくなるだろう。

1995年、単行本の上・下巻(A5判・ハードカバー・函付き)が、新人物往来社より出版された。

2003年、コンパクト版の上・下巻(四六判・ハードカバー)が、新人物往来社より刊行された。
若干の訂正や追補がされたのみで、大幅な増補改訂はされていない。
コンパクト版としての制約があり、やむを得なかった様子。
できれば増補改訂版を出して欲しいが、編著者や出版社の事情で難しいのだろう。

[追記 2013/11/08]
2013年、文庫版の上・下巻が中経出版より刊行された。
編著者は前版と同じ。
内容は、「浪士文久報国記事」をはじめ前版発行後に確認された史料も多く盛り込み、全面的に改稿された。
ページ数が大幅に増えたため、前版にあった天保5年~文久2年を割愛し、文久3年から始めている。
各巻1890円(税込)と文庫本にしては高価だが、いずれも1000ページを超えるボリューム。
たとえ前版を持っていたとしても、この改訂新版もぜひ手元に置くべきと思う。

新選組日誌
コンパクト版〈上〉
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新選組日誌
コンパクト版〈下〉
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新選組日誌 上
(新人物文庫)
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新選組日誌 下
(新人物文庫)
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やっぱりココに辿り着きます

どんな本かな?と調べていると、必ず最初に東屋梢風さんのブログに辿り着きます。
この本は年表みたいな感じなのでしょうか?
新選組史料大全とは全く性質が異なるイメージなのですが、いかがですか?
東屋梢風さんの文章を読む限り、どちらも持っていたい本のように感じます。

2016/02/20(Sat) |URL|masako [edit]

masakoさんへ

コメントありがとうございます。
こんなブログですが、多少なりとお役に立ちましたら幸甚です。

本書は、年表と同じように出来事を年代・日付順に列記した構成です。
ただし、史料抜粋と解説の分量がかなり多いので、年表とは異なり全体を一目で見渡すような感じではありません。文章を読むという意味では、まさに「日誌」です。
大きな出来事は、目次からすぐに探せます。
また、史料抜粋をとばして解説だけ読んでも、それなりに役立つでしょう。
上下2巻揃えても『新選組史料大全』よりは費用も置き場所も少なくてすみますし、電子書籍版もあります。まずこちらを入手なさってみてはいかがでしょうか?

2016/02/20(Sat) |URL|東屋梢風 [edit]

電子書籍版で買ってみます

アドバイスありがとうございます。

文庫本なのにページ数が膨大なので、年表だけでなく出来事に付随する史料の一部も含まれているのだろうと予想していました。紙の媒体で持っていたいけれど、電子書籍版の方が勉強会などの外出先でも確認できるし・・・と悩んでいたのですが、まずは電子書籍版を購入して、必要であれば紙の媒体でも買うことに決めました。このコメントを書き終えたら、早速買います(笑)ありがとうございました!

2016/02/20(Sat) |URL|masako [edit]

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