新選組の本を読む ~誠の栞~

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 佐藤あきら『聞きがき新選組』 

史話集。佐藤彦五郎の子孫宅に伝わる記録類のうち、主に幕末維新関連のものを集約した一冊。

佐藤彦五郎は、甲州街道(武州多摩郡)日野宿の名主であり、土方歳三の義兄(姉の夫)でもあり、近藤周助の弟子として天然理心流を学んだ人物。新選組の有力な後援者でもあった。
その後、彦五郎の孫が代々の言い伝えや古文書などをまとめ、「籬蔭史話」と題する著作を遺した。
本書は、その「籬蔭史話」から幕末維新前後の項を編纂したもの。編著者は、彦五郎の直系曾孫である。

本書の内容について、目次より大項目と中項目を抜粋して次に挙げる。
(※中項目の下に小項目もあるが、全部挙げると長くなりすぎるので割愛する)

「籬蔭史話」について
家系伝説――幕末以前
  小田原北条古文書
  小田原城の包囲
  蜀山人蕎麦の文
  殖産寺の孝子文
  高幡不動尊参詣
新選組と天然理心流
  明治維新前後
  日野農兵隊
  新選組の起因
  日野農兵隊組織
  百姓一揆打払い
  八王子壺伊勢屋の乱闘
幕末維新の日野宿
  頼山陽の書簡
  大坂鴻池と親交
  日野大坂上の棒術
  小金井小次郎と邂逅その他
  内藤新宿関門の論争
  佐久間象山の書幅
甲州勝沼戦争
  父子近藤宅に宿泊
  甲州勝沼戦争
  春日隊の奮戦
  わが家一族離散
  祖父暗夜の江戸行
函館戦争哀話
  函館戦後の哀話
  小姓市村の函館戦話
  函館脱走姓名録
土方歳三遺聞
  土方歳三遺聞
  土方豊玉の俳句
  歳三の諡号
  近藤土方等の書簡
  郷友両雄の碑を建つ
函館戦争実記
  鴻池支店の奥座敷
  五稜郭城内諸将の会議
  函館称名寺境内
彦五郎三代の記
  佐藤彦五郎のその他のこと
  祖父俊宣のこと
  彦五郎四男彦吉明治二十年の渡米記について
「籬蔭史話」こぼればなし
  家伝虚労散薬(沖田総司の持薬)
  祖父俊宣の西遊紀行(近藤勇の首探し等)
  天然理心流再登場(剣士安井久敬のこと等)
  土方、佐藤、有山三家の関係図

部分的に古文書の引用もあるが、それ以外は現代文で読みやすい。

佐藤彦五郎家の成り立ち、天然理心流・近藤道場一門のこと、若き日の歳三と土方家のこと、新選組のこと、自衛のため組織された日野農兵隊のこと、彦五郎も従軍した勝沼柏尾戦争のこと、維新後に伝えられた箱館戦争のことなどが、詳述される。
往時の風景や遺品の写真(モノクロ)も、多数掲載。
どの話も、非常に興味深い。読む度、改めて気づかされる要素がある。
維新後、子孫筋の人々が「賊軍」関係者と見なされて苦労しながらも、自らの知る事実を記録として残そうと傾けた情熱が伝わってくる。

司馬遼太郎が『燃えよ剣』を執筆する前、佐藤家も訪問し、「籬蔭史話」を見たという。
五稜郭陥落の直前に箱館を脱出した市村鉄之助が、歳三の写真と辞世の歌を佐藤家に届けたことは、その時に知ったらしい。
この逸話は、周知のとおり『燃えよ剣』の終盤に盛り込まれている。

新人物往来社から単行本(四六判ハードカバー)が初版(1972)、新装版(2003)と出版されている。

ちなみに、佐藤家には「籬蔭史話」の元になった「今昔備忘記」という文書も伝わっている。
その全文は公開されていないが、一部は新人物往来社刊『続 新選組史料集』に収録されている。

さらに余談だが、佐藤家の元屋敷は現在、日野市の所有となり「日野宿本陣」として公開されている。
また、その至近では、佐藤家ご子孫が「佐藤彦五郎新選組資料館」を開設し、ゆかりの貴重な品々を展示している。

(※著者名「あきら」は「日」+「立」=「昱」だが、環境依存文字のため、かな表記とした。)

聞きがき新選組
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