新選組の本を読む ~誠の栞~

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 谷春雄・大空智明『ふるさとが語る土方歳三』 

史話・史論集。土方歳三の生涯と、地元・日野における新選組研究の展開について、郷土の研究家が明らかにする研究書。

著者のひとり谷春雄は、代々地元に住み、新選組研究を長く続けた人物である。
土方歳三や井上源三郎の生家、親戚筋を訪ね、子孫の話を聞き、家に伝わる史料を調査・解読した。
京都国立博物館「特別陳列・新選組」(2003)の監修を手がけるなど、実力を認められている。
幕末以外、新選組以外の歴史や文化にも造詣が深い。
その研究姿勢は、史料に基づく実証主義を第一とする。

本書は、この人と日野郷土史研究会・代表者との、土方歳三を主題とした対談をまとめたものである。
おおまかな内容は、下記のとおり。

序章 日野の古老・谷春雄像
第一章 日野時代の歳三
第二章 上洛
第三章 京洛の新選組
第四章 沸騰する幕末
第五章 戊辰戦争勃発、江戸開城、敗走
第六章 人間・土方歳三の面目躍如
第七章 今生最後の姿と心


それぞれの章は、複数の項目から成っている。
土方歳三の若き日の逸話など、『聞きがき新選組』と共通するものも多いが、その逸話がどのように伝わってきたのか、何を根拠にしているのか、説明されている点が参考になる。
また、地縁が深いからこそ知り得たと思われる話も少なからずあって、大変興味深い。
土方歳三と新選組を育んだ日野の土地柄を知るにも、格好の書と言えよう。

これほど地道かつ精力的に活動した人が存在したのだから、日野における新選組関連はすでに研究し尽くされたように思える。
ところが、この人が亡くなった後に出た史料、発見もあるのだ。
研究の余地とは尽きることがないものだと、つくづく思い知らされる。
一方、先達が研究を積み重ね実績を遺したからこそ、後進の人々がそれを引き継ぎ、新たな発見に繋げることができる。
日野の地にとって、谷春雄という研究家を得たことは、かけがえのない財産であろう。

本書は日野郷土史研究会の自費出版物であるらしく、一般的な商業出版物の流通には乗っていない。
NPO法人・日野市観光協会の公式サイトによると、地元の一部書店が扱っているほか、同協会が通信販売していたそうだが、昨今の状況は不明である。

参考として、書誌データを以下に記しておく。

 書名 ふるさとが語る土方歳三
 監修 児玉幸多
 著作 谷春雄・大空智明
 発行 日野郷土史研究会
 初版発行日 平成15年(2003)12月6日
 体裁 四六判ハードカバー 300ページ
 ISBNコード 無し

ふるさとが語る土方歳三

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