新選組の本を読む ~誠の栞~

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 童門冬二『竜馬暗殺集団』 

長編小説。新撰組は坂本竜馬を暗殺するために組織された、という独自の解釈から数々の事件の背後関係に迫る歴史ミステリー。

ストーリーは「第一部 新撰組史」「第二部 近藤勇裁判」の2部で構成されている。

「第一部 新撰組史」 
近藤勇は、小栗上野介ら幕府上層部から、城持ち大名の地位を報酬として、坂本竜馬暗殺の密命を受ける。
浪士隊の結成は、そのために仕組まれた大芝居だった。
その後に続く新撰組の活動も、真の目的は竜馬ひとりにあった。
芹沢派の暗殺をはじめとする内部粛清は、秘密を厳守するため行われた。
池田屋事件も、竜馬がいると思って踏み込み、別の浪士達と遭遇した結果である。
長い苦闘の末、密命はようやく果たされたかに見えた。
しかし、時すでに遅く、約束の甲府城は手に入らず、近藤は新政府の東征軍に捕えられてしまう。

「第二部 近藤勇裁判」 
近藤の処置をめぐり、新政府軍内部の議論が紛糾。土佐の谷干城らは極刑を主張する。
一方、薩摩の有馬藤太は、裁きの公正を主張し、竜馬暗殺の真相を究明すべく奔走する。
そして、沖田総司や小栗上野介を探し出して事情を聞き、ついにすべてを画策した人物に行き当たる。

設定にやや無理があり、展開が強引な感じがする。
そもそも文久3年の時点では、坂本竜馬が幕府から命を狙われるほどの重要人物であった、とは考えられない。
人物造形も今ひとつ奥行きに乏しく、全体的に粗削りな印象が残る。

ただ、当時イギリスやフランスなど列強が、利権目的で日本に干渉した、というのは事実だろう。
また、権力者にとって新撰組などは使い捨ての道具に過ぎない、という見方にも真実に近いものがあるように思えた。
史実にあまりこだわらず推理小説ふうの娯楽作品として読むなら、なかなか楽しめる。

本作は何度か改題され、異なる出版社から刊行されている。
東都書房の単行本(1964)ならびに春陽文庫(1968)は『異説新撰組』。
新人物往来社の単行本(1977)は『沖田総司血涙録』。
春陽文庫の新装復刊(1982/再1996)では『竜馬暗殺集団』。

竜馬暗殺集団
(春陽文庫)




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こんばんわ。初めまして。
私も新撰組には興味が在り、楽しく読ませていただきました。
勝手にリンクしました。ごめんなさい。

2011/11/09(Wed) |URL|なおまゆ [edit]

Re: なおまゆさんへ

なおまゆさん
初めまして。リンクのお知らせありがとうございます。
これからも楽しんでいただけるよう頑張りたいです。
こちらからも伺いますので、よろしくお願いします。

2011/11/09(Wed) |URL|東屋梢風 [edit]

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