新選組の本を読む ~誠の栞~

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 子母澤寛『新選組始末記』 

史談集。子母澤寛「新選組三部作」の第1作。

当時、新聞記者だった著者が、大正12年頃から歴史家や古老に話を聞くなど取材を進め、その成果を昭和3年(1928)、単行本として出版した。
現在流布している中公文庫版は、単行本を再編集し、「一 近藤勇の道場」から「六六 勇の墓」まで、ほぼ年代順の66編からなっている。

新選組についてまとまって書かれた非創作ものが非常に少なかった頃、子母澤寛の「新選組三部作」は、西村兼文『新撰組(壬生浪士)始末記』、平尾道雄『新撰組史録』と並んで「新選組研究のバイブル」と称された。

詳しく取材調査されていることから、研究材料としてよく利用されている。
ただ、著者による創作も含まれ、全部が史実というわけではない。
といって、すべて虚構と決めつけ、研究には不適切と全否定すべきでもないだろう。
史実か創作かの見極めは、受け手の姿勢や力量にかかっている。

子母澤寛の意図は、当時の「新選組=勤王の志士を弾圧した悪者」という世評を変えたい、多面的な人間像を伝えたい、というところにあったようだ。
そこで、ひろく大衆に受け入れられるよう、読み物としての面白さに重点を置いたのだろう。
だから、研究云々は脇に置いて、ただ単純に楽しむ気持ちで読むなら、何も難しくはない。

各章が簡潔にまとまっている。表記や言葉遣いはクラシカルだが、読みづらさはない。
フィクションかノンフィクションかにかかわらず、新選組関連の多くの著作物(映像化作品も含む)に影響を与えていることが、よくわかる。
すべての新選組ものの原点が、ここにある。

三部作の『新選組遺聞』『新選組物語』とともに、中公文庫版(初版1976/改版1997)がある。

なお、中経出版より新人物文庫『新選組始末記』が、2013年に刊行されている。

新選組始末記
(中公文庫)
>>詳細を見る



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