新選組の本を読む ~誠の栞~

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 渋谷雅之・石黒敬章編『英傑たちの肖像写真』 

副題『―幕末明治の真実―』。
幕末・明治の著名人物の肖像写真について、撮影状況や来歴など詳しく解説した研究書。

本書で取り上げられている人物と担当執筆者(共著者)は、下記のとおり。
 坂本龍馬 渋谷雅之(徳島大学名誉教授、薬学博士)
 西郷隆盛 石黒敬章(古写真蒐集家)
 明治天皇 倉持基(東京大学大学院情報学環特任研究員)
 土方歳三 土方愛(土方歳三資料館副館長)
 近藤勇  森重和雄(古写真研究家)


この中で、西郷隆盛以外は、肖像写真の存在が以前から知られていた。(西郷に関しては、肖像写真の存在が何度も話題になりながら本物は1点も確認されていない、という主旨で取り上げられている。)
ただ、近藤・土方に関していえば、商業出版物では1葉が掲載され、簡単なキャプションが付く程度の扱いが多かったように思う。(他の人物は守備範囲外なので不知。)

本書では、この人物の肖像写真は何点存在するのか、それらはどのような経緯を経て伝わったのか、撮影した人物は誰か、撮影の場所や時期など状況はどのようなものだったか、体系的かつ細かく検証され、わかりやすく解説されている。
被写体人物の容貌だけでなく、服装や持ち物、小道具や背景、さらには写真が焼き付けられた紙やトリミングの状態、写真が貼られた台紙など、様々な角度から観察・比較することによって、実に多くのことがわかるものだと驚かされた。

各執筆者は、通説を鵜呑みにせず、改めて一葉ずつを検証している。
その結果、新たに判明したこともあり、その一方で不明な点ははっきり「不明」としている。おかげで、とても勉強になる。

写真画像が引用されている点も、わかりやすくて助かる。
ただ、解説文のみで画像のないのものがわずかにある。所在不明のものは仕方がなかろう。しかし、所在が明らかであり、なおかつ手続きを踏めば使用可能であろう写真が掲載されていないことに対しては、不可解と言わざるをえない。唯一それだけが、本書の残念なところである。

執筆者同士の協力関係も、素晴らしい。
情報や参考品を提供し合うことによって、研究がより進んだ様子が窺い知れる。
今後、研究のさらなる発展に期待したい。

個人的に、近藤・土方の章が目当てで購読したが、他の章も興味深くてためになった。
読後、幕末史を面白くしている大きな要素のひとつは写真史料であると、つくづく感じた。

2010年、渡辺出版より刊行された。四六判ハードカバー。

英傑たちの肖像写真
幕末明治の真実
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