新選組の本を読む ~誠の栞~

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 みなもと太郎「冗談新選組」 

マンガ。近藤勇・土方歳三を中心として、新選組の興亡を描く、連作ギャグシリーズ。
雑誌連載3回分の本編「冗談新選組」と、4回分の番外編「冗談新選組外伝」によって構成される。

冗談新選組

【第1回】
まったく流行らない貧乏道場の試衛館
 ↓
浪士隊に加わって京都へ
 ↓
芹沢派と同盟し京都残留を決意
 ↓
残留組の清河暗殺計画

【第2回】
清河暗殺に失敗
 ↓
新選組結成と隊士募集
 ↓
芹沢の乱行
 ↓
芹沢暗殺(されたと見せかけて逃亡)
 ↓
長州系浪士による蜂起計画

【第3回】
池田屋事件
 ↓
鳥羽伏見戦争
 ↓
沖田の死
 ↓
江戸へ引き上げ
 ↓
近藤の投降

近藤・土方の他に、沖田総司も主役扱い。芹沢鴨も、暗殺されるまでは目立ちまくり。
さらに、試衛館から税金を徴収しようとする税務署員が「鞍馬天狗」と化し、しつこくつきまとう。

最後はストーリーが端折られ急転直下に終わっており、連載打ち切りの憂き目にあったかと思えるほど。
しかし、作者の回顧談によると、当初から「3回で合計70ページ」と依頼された作品だったとか。
そこで、新選組の結成から終焉まで描こうと決意、完遂したものの周囲から何の反響もなかった、という。
なぜそのように無理な挑戦をしたのか、理解に苦しむところだ(笑)

冗談新選組外伝

「傷だらけの新選組」
近藤勇のキャラクターを俳優・鶴田浩二に置き換えた、テレビドラマのパロディ。
芹沢暗殺事件を扱っているが、他の作品とのストーリー的なつながりは薄く、単発作品といってよい。

「新選組驚記・前編」
隊士募集により、伊東甲子太郎らが入隊するが、早くも不協和音が生じる。

「新選組驚記・後編」
伊東の分離脱退工作が、困難を極めながらもなんとか成功する。

「油小路の暗殺」
伊東暗殺、油小路の激闘によって、御陵衛士は壊滅する。

近藤・土方の他に、伊東甲子太郎が主役扱い。
また、藤堂平助が、双方の板挟みとなって両派閥から虐待されるという、不遇な役回りを演じる。

歴史上の出来事や世界的文学作品といったシリアスな題材を、パロディふうのギャグマンガとして描くのは、作者の得意とするスタイルである。
本作シリーズも、ギャグが多いわりに、ストーリーは要点をきっちり押さえている。
しかも、単なる段取りではなく、ドラマとしての起伏があって楽しめる。
ギャグには昔ながらの漫才ふうな味わいがあり、長閑さや暖かみを感じさせる。

本作は残念ながら短命に終わってしまい、物足りなく思えた。
しかしその血脈は、作者の大長編マンガ「風雲児たち」に受け継がれた。
出版社から幕末群像劇を依頼された作者が、幕末政治情勢の発端となった関ヶ原の戦いから描き始めたため大長編になったという、それ自体ギャグのような話だ。
「冗談新選組」ほど破天荒なギャグはないものの、やはり面白い。
史実を非常に良く調べて描いており、生半可な文章本よりずっと勉強になる。
昭和57年から連載開始し、掲載誌が途中で変わるなど曲折を経て、現在「風雲児たち 幕末編」が月刊『コミック乱』にて連載中である。

「冗談新選組」の初出は1972年、『少年マガジン』。
その後、何度か単行本化された模様。
新書館ペーパームーン・コミックス版(1980)、イースト・プレス版(2003)を見かける。
また、作者自身が私家版を発行しイベント等で頒布している、という話も聞く。

[追記 2015/12/14]
『冗談新選組 風雲児たち外伝 増補新版』が、2015年12月、復刊ドットコムより刊行された。
収録内容は「冗談新選組」のほか、「仁義なき忠臣蔵」 、作者と三谷幸喜との対談、短編マンガ「徳川慶喜」「チャカポンくん」、新規「あとがき」とのこと。

冗談新選組
風雲児たち外伝
<増補新版>
>>詳細を見る



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すごく懐かしい作品です。
まだ、手に入れられるんですね。
捜してみます。
ご案内、有難うございました。

2011/11/16(Wed) |URL|左近 [edit]

Re: 左近さんへ

左近さん
コメントありがとうございます。
私は以前、新書館の単行本(昭和55年)を入手しました。
表題作の外「古事記物語 日本武尊」「武蔵と小次郎」など
数編が掲載され、全202ページです。
ただ、今ではなぜか古書もほとんど見かけません。

イースト・プレス版は、表題作以外の内容が大幅に異なるようですが、
かなり面白そうですし、お手軽価格で流通しています。
作者が現役活動をやめたら値上がりするかもしれませんので
入手なさるなら今のうちがよろしいかと存じます。

2011/11/16(Wed) |URL|東屋梢風 [edit]

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