新選組の本を読む ~誠の栞~

小説 史談 エッセイ マンガ 研究書など

 柘植久慶『獅子たちの時代』 

長編小説。新選組隊士・川久保鋭之助と、彰義隊隊士・田野倉寛蔵の、冒険と数奇な運命を描く時代活劇もの。

明治2年5月10日の夜。
旧幕軍と行動を共にしてきたブリュネ大尉らフランス軍人一行は、陥落寸前の五稜郭から無念の脱出をする。
土方歳三の命令で一行を護衛していった川久保鋭之助は、負傷して帰営できなくなった。
そこで、やむなくブリュネに従ってフランスへ渡る。
一方、川久保と親しかった田野倉寛蔵も、降伏寸前に脱出し、プロイセンへと渡る。

それぞれ慣れない異境で苦労しながらも、経験と能力を生かし軍人として身を立てることに成功したふたりは、奇遇にも普仏戦争において敵同士として相見えることに。

やがて休戦協定が結ばれたものの、まもなくパリ・コミューンの暴動が発生。
ふたりはコミューンを鎮圧するベルサイユ軍の一員として、共に戦うのだった。


架空の新選組隊士と彰義隊隊士が、ヨーロッパへ渡り、戊辰戦争での実戦経験を生かし活躍する冒険譚である。
時代考証がよくなされており、このような人物が実在しても不思議でないと思わせる。
筋運びがテンポ良く、戦闘場面は臨場感にあふれ、自らの能力と才覚で運命を切り拓いていく主人公らも生き生きと描かれて、痛快な活劇となっている。

冒頭の五稜郭の場面と、その後の回想場面に、土方歳三が数回登場する。
記述の分量はわずかだが、「その洗練された容姿」「その軍事的才能を惜しむ」などと印象的に表現され、作者の思い入れが垣間見える。

作者は、フランス外人部隊ならびにラオス政府軍の格闘技教官、アメリカ陸軍特殊部隊(グリーンベレー)の指揮官などを務めたという。
その異色の経歴を生かし、軍事評論家&作家として、ドキュメンタリーからフィクションまで幅広い著作を発表している。
戊辰戦争を扱った評論や小説も複数ある。
著作では、陸軍指揮官としての土方歳三を高く評価している。
戊辰戦争については、旧幕軍がどのように戦えば勝てたか、戦略・戦術の分析やシミュレーションを手がけており、興味深い。

集英社から単行本(1990)、文庫本(1994)が出ている。

獅子たちの時代
(集英社文庫)
>>詳細を見る



にほんブログ村 歴史ブログ 新選組へ
にほんブログ村 ←クリック応援ありがとうございます

長編小説の関連記事

COMMENT FORM

  • URL:
  • comment:
  • password:

Trackback

トラックバックURL:https://bookrest.blog.fc2.com/tb.php/61-02885f50


back to TOP