新選組の本を読む ~誠の栞~

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 小島政孝『新選組余話』 

史談と史料集。小島資料館館長であり新選組研究家である著者が、天然理心流と新選組の逸話、家伝の史料をまとめた研究書。

試衛館と新選組の有力後援者として、日野宿名主・佐藤彦五郎と同様に知られるのが、小島鹿之助である。
小野路村を含む34カ村の寄場名主を務めるなど、地域の名士であった。
近藤勇らは、試衛館時代に小島家を何度も訪れ、また在京時代に手紙を度々送った。

小島鹿之助は几帳面な人柄だったらしく、詳細な日記を記す一方、手紙類なども可能な限り保管に務めたようである。それらが代々受け継がれ、史実を伝える貴重な史料となった。
鹿之助の子孫である著者は、代々の屋敷に小島資料館(東京都町田市小野路)を併設し、それら史料を公開している。また、新選組や天然理心流に関する研究を長年手がけ、著書も複数出版している。

本書は、それら著書のうちの1冊である。
天然理心流の開祖から四代目の近藤勇に至るまでの系譜、近藤勇土方歳三沖田総司の様々なエピソード、明治期の後日談など、96項目が並ぶ。
それぞれの項目は短くまとめられ、肩の凝らない読み物の形を取っているが、貴重な情報が多く盛り込まれている。
他の研究者に参考として利用された記述も多い。
さらに「史料編」として、小島鹿之助が近藤・土方の事績を著わした「両雄士伝」や、その補完史料「両雄逸事」「慎斎私言」「両雄士伝補遺」殉節両雄之碑の碑文(漢文の書き下し)が掲載されている。

勇が麦とろ飯の食べ比べをした、歳三が橋本家(小島家・土方家の親類)の沢庵を好んだ、総司がある女性からの求婚を断ったなど、等身大の人物像を伝える逸話の数々がとても興味深い。

史料の写真やコピーも多く掲載されている。
山南敬助が不逞浪士を討ち取った手柄を伝える記録、勇の妻つねが小島家に宛てた手紙、明治2年に板橋刑場を調査した略図などを、モノクロながら見ることができるのは非常にありがたい。
気軽にさらりと読むことも、研究の手がかりとして深く読むことも可能な、貴重書である。

1990年、小島資料館より刊行され、商業出版物として流通していた。その後、在庫切れとなった様子。

新選組余話


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