新選組の本を読む ~誠の栞~

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 桜井滋人『魔剣・新選組』 

長編小説。副題『幕末の風雲児』。
新選組の興亡を、謎の一党の暗躍と絡め、浪士組結成から池田屋事件にかけて描く時代活劇。

ある夜、土方歳三は、吉原に馴染みの黛花魁を訪ねる。
同行させられた沖田総司は、藤尾太夫と出会い、親しく語らう。
帰途、ふたりは吉原田圃で刺客集団に襲われ、辛くも撃退。
翌日、伊庭八郎がもたらした情報によれば、黒幕は黛の客のひとり、北辰一刀流玄武館の高弟・小野得三郎だった。

次の夜、黛に誘い出された小野は、藤尾の秘術によって暗殺される。
やがて、清川八郎の献策により、浪士組が組織されることとなる。
近藤勇・土方歳三は、松平上総之介に呼び出され、直々に清川暗殺の密命を受けるのだった。


土方と沖田がストーリー展開の中心となっており、近藤勇永倉新八原田左之助藤堂平助(作中では兵助)らも活躍する。
伊庭八郎は、試衛館によく出入りしており、特に沖田と親しい。

また、独自の設定として、試衛館一門を陰ながら助ける謎の一党が登場する。
藤尾太夫ことお藤もその一員であり、沖田を追って上京し、彼の危機を救う。
お藤の師匠・お市婆は、武術や幻術に長け、土方に様々な情報や戦略を授けた上、秘術を用いて男女関係を結んでしまう。
彼女らの手先として働く青年・吉は、浅草弾左衛門の配下でもあり、そのネットワークを駆使し諸事に対処する。
芹沢派粛清や池田屋事件の際にも、一党が諜報活動を全面的に引き受け、強力な助けとなる。
一党の全容や真の目的などは、まったくわからない。
ただ、松平上総之助から試衛館一門への協力を命じられていること、伊庭とも以前から面識のあることが、示唆されるのみ。

花魁をめぐっての大乱闘は上述のとおり。
そのほか、原田と永倉が金に困って賭場を襲う、という無軌道ぶりを演じる。
人物の言葉遣いは伝法で、沖田までが「おいら」「でぇじょうぶ(大丈夫)」などと言う。
加えて、性描写がけっこう露骨。
これらを猥雑と捉えるか、生き生きした活力あふれる描写と捉えるかは、読者次第であろう。
剣戟場面は、迫力があって壮快。

廣済堂文庫版(1989)が出版された。
jまた、本書の続巻にあたる『血録新選組』も、同じく廣済堂文庫から刊行されている。

魔剣・新選組



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