新選組の本を読む ~誠の栞~

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 小島政孝『武術・天然理心流 上』 

研究書。副題『新選組の源流を訪ねて』。
近藤勇ら試衛館一門が修めた、天然理心流の歴史を解説する内容。

『新選組余話』の著者が、それよりも前に発表した著作である。
天然理心流の起原と発展、歴代の宗家・高弟・有力門人、流派伝播の経過や地域など、長年かけて調査された内容が詳述されている。大変な労作。

各章は下記のとおり。それぞれの章は、さらに複数の項目を含んでいる。
近世剣術の大要
幕末期における関東の諸派
高弟小幡万兵衛健貞
小泉茂兵衛幸隆
宮岡武左衛門
戸田角内と来住野久二
二代近藤三助方昌
増田蔵六一武
宮岡三八富矩
井滝伊勢五郎久敬
漆原権左衛門真保
漆原太郎治清保
漆原倉之輔保吉
桑原永助昌英
小野田東市
高部太吉千澄
保田司之助易早
横田右馬之助
松崎正作栄積
松崎和多五郎則栄
大平真鏡流
青梅地方の剣術
山本満次郎最武
真田範之介滋野直昌
近藤周助邦武
島崎一(西村一平)
原田忠司盛重
近藤勇昌宜


新選組ファンであれば、近藤勇の章だけ読んでも充分楽しめると思う。
ただ、近藤ら試衛館一門について知ろうとするなら、天然理心流の全体像を把握することも大切であり、本書はその需要を満たしてくれる貴重な一冊である。
天然理心流の歴史研究書として、これほどの内容のものは、おそらく後にも先にもないだろう。

内容のうち、個人的にとりわけ興味深く思えたのは以下のこと。
  • 天然理心流は、もともと剣術・柔術・棒術の三術を総合した流派だった。
  • さらに、相手に触れずに気力を奪って戦えなくする気合術もあった。
  • 二代目宗家が急逝したため、正式に三代目を任された人物がいなかったらしい。そのため流派が分かれ、何人かの師範代によって別々に継承されることになった。
  • 中島登の師匠は、山本満次郎だった。

ちなみに、実技についての技術的説明は掲載されていない。これは、著者本人が剣道を修めていないことから、敢えて触れなかった模様。

書名には、「上」巻と銘打たれている。
あとがきによると、著者は慶応以前を上巻、明治以後を下巻と分けて、史料調査が完了したら下巻を発行する予定であったようだ。しかし、未だ実現に至っていない。
調査の成果が予想ほど上がらなかったのか、他に何か支障があったのかは不明だが、大変惜しい。今後も発行の見込みはないのだろうか。

本書は小島資料館の自費出版物であり、一般的な商業出版物の流通には乗らなかったらしい。
残念なことに、版元で在庫切れしており、中古での流通もかなり少なくなっている。

古書で入手する、もしくは図書館で閲覧する際の参考として、書誌データを以下に記す。

 書名 武術・天然理心流 上 新選組の源流を訪ねて
 著作 小島政孝
 発行 小島資料館
 初版発行日 昭和53年(1978)11月10日
 体裁 四六判ソフトカバー 247ページ
 ISBNコード 無し

武術天然理心流

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